梅咲きぬ年経るごとにきびし世に

決して昨今の古本屋事情をぼやいて作った句ではありません。
(まあ、そうだと言っても間違いではないですけれど)

1992年発行の「戦時下俳句の証言」という本(高崎隆治著、新日本新書)に収められている、1944年の句です。

1938年から1945年までの、殆ど無名な人による俳句を集めたもので、プレパトにでも出せば酷評される程度のものかもしれませんが、当時でなければ詠めない句がたくさんあります。

けだものの弱きは生きて落葉かな
(全国の動物園で猛獣が安楽死させられた時期に詠まれたもの)

指折りて待つとふ汗の母小さき

淋しと書かぬ戦地の手紙読む麦穂の中

馬立たず軍列雪に消ゆるなり

戦友を焼くことに馴れゐて寒かりき

       このような句がたくさん入っています。

       こんな句を読むことが再びないようにと思います。